夢二
人気画家 竹久夢二(沢田研二)は妻と別れ、彦乃(宮崎真澄)と駆け落ちのために金沢へ。ひと足さきに金沢に着いた夢二。彦乃の到着を待つも、親の反対に遭い、結核を患う身の彦乃はなかなか現れなかった。手持ち無沙汰の夢二の目に美しい人妻 巴代(毱谷友子)が止まる。
鑑賞日:2023年11月27日 |
映画館:ユーロスペース |
鈴木清順監督の生誕100周年を記念し【浪漫三部作】『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』が4Kデジタル完全復刻版として上映されていました。
非常に人気の高い鈴木清順監督。私は本作品で初めて鈴木作品を見ましたが、非常に芸術的で、凡人の私には何が言いたいのかさっぱりわかりませんでした。
愛と死、現実と幻想が交差します。自分本位の夢二が女性に求めていたのは愛ではなく、性欲のはけ口、または被写体として自由にできるモデルだったように思います。しかし、本作では絵を描きたいという意欲が全く見えません。本作の竹久夢二は『HOKUSAI』の柳楽優弥のような情熱的な絵描きではありませんでした。
画家の画業の部分が描かれていない本作品。描きたかったのは夢二の女たらしの腕前だったのでしょうか?
孤独で孤高の画家で尚且つ稀代の女たらしを沢田研二が好演します。沢田研二の美しさが黙っていても夢二の孤独と純粋さを映します。沢田研二は声が甘いなぁと再確認してしまいました。
洋菓子店コアンドル
鹿児島の洋菓子店の娘 臼場なつめ(蒼井優)は、パティシエ修行のために東京で働く恋人の海千鶴(尾上寛之)を追いかけて勤務先の洋菓子店コアンドルを訪ねる。しかし海はすでに退職していた。途方に暮れたなつめはそこで働かせてほしいと頼む。オーナーの依子ウィルソン(戸田恵子)の知人で伝説のパティシエと言われた男 十村遼太郎(江口洋介)はなぜかパティシエを辞め、評論家になっていた。そんな折、コアンドルに大きな仕事の依頼が入る。
鑑賞日:2011年 |
映画館:? |
洋菓子好きなワタクシ、美しい洋菓子がたくさん出てくる本作に興味を持ち鑑賞しました。蒼井優、江口洋介 W主演です。
なつめの成長と共に周りの人々も成長していきます。よくあるパターンの話なのです。が。お菓子がとても綺麗で、そのせいか画面が艶やかでした。そして蒼井優さんの鹿児島訛りがとっても可愛い。「がんばれ!」と応援してしまいます。(鑑賞後しばらくの間、蒼井優さんの「海くんいますか?」が頭から離れなかった)
常連客の芳川(加賀まりこ)も品があり、お菓子を食す姿が美しい。しかし対照的に厨房は優雅とは程遠く、バタバタと非常に慌ただしい。特にマリコ(江口のりこ)の行動や表情は”パティシエあるある”で、どこかのパティスリーから連れてきたホンモノではないかと思うほどにリアルでした。
本作で使われているお菓子のほとんどが神楽坂のル・コワンヴェールのもの。こちらのパティスリーは本作で初めて知りました。行ってみると、あまり広くない店内に人が切れず出入りがあり、そこにはキラキラと美しいお菓子が並んでいました。
映画のパンフレットの巻末に撮影協力としてたくさんのパティスリーの名前が上がっています。
陽暉楼
時は昭和の初め。女衒の勝造(緒形拳)は娘を高知の置屋 陽暉楼に預けていた。陽暉楼の女将(倍賞美津子)は勝造のかつての女だった。娘の房子は源氏名桃若(池上季実子)を名乗り、店一番の芸妓になっていた。大阪で勝造に囲われていた珠子(浅野温子)は一花咲かせたいから陽暉楼で働くと言い出す。しかし、芸妓よりも女郎になると言い、自ら女郎屋へ赴く。
大阪のヤクザの組長 稲村(小池朝雄)は勝造から百円を掠め取った女 丸子を捕まえ、陽暉楼に入れる。丸子の件で勝造は稲村から命を狙われることに。
鑑賞日:2025年 4月10日 |
映画館:神保町シアター |
勝造、房子、珠子の生き様を2時間半ほどに凝縮していました。誰を中心にした話なのかよくわからず、またやけに長い喧嘩や色気のないエロが私にはよくわかりませんでしたが、役者の演技はものすごかったです。
腕っぷしが強く色気があり軽薄な女衒を演じる緒形拳然り、男の気を引くために女郎になる無邪気な捻くれ者を演じる浅野温子然り、極悪な組長を演じる小池朝雄然り。
房子の池上季実子は綺麗でしたが、父や女将への想い、愛する人への想いなど、感情があまりよくわからず、主人公はこの人ではないのか? じゃ、誰だ? と思いました。
そして…。
小池朝雄が怖い。成田三樹夫が怖い。
小池朝雄は声も怖い。成田三樹夫は顔が怖い。
声と言ったら風間杜夫。こんなに甘い声だったのかと改めてびっくり。役は勝造の舎弟で優しい男。面倒を見てやれと、勝造の愛人 珠子を押し付けられます。あれ? これどこかで見たことあるぞ…。『蒲田行進曲』の銀ちゃんがヤスに同じことしてましたね。その後、身を挺して勝造や珠子の命を守った秀さんはヤスよりも凄かった!?
鑑賞者はシニアの男性が多く、映画途中でいびきをかいて寝ている人が複数いたり、池上季実子と浅野温子の乱闘に笑い声を立る人がいたり、なんかちょっと私が知ってる客層とは違うなぁと感じました。