魔界転生
島原で多くのキリシタンの民衆を率い一揆を起こした天草四郎時貞(沢田研二)は、幕府によって無惨にも鎮圧される。信じる神は彼らに手を差し伸べてはくれなかった。無念の思いが怨念に変わる四郎は魔界から転生する。四郎は同じく無念の思いを抱いたまま死んでいった細川ガラシャ(佳那晃子)、宮本武蔵(緒形拳)などを転生させ、恨みを晴らし、徳川を滅ぼす画策をする。不穏な気配に気づいた柳生十兵衛(千葉真一)は刀鍛冶の村正(丹波哲郎)に妖刀を打ってもらうように頼む。
鑑賞日:2025年 4月15日 |
映画館:新文芸坐 |
公開当時、沢田研二さんがテレビに出る度に「エロイム・エッサイム」という謎の呪文を唱えていました。取り立てて興味もなく鑑賞しませんでしたが、昨日76歳になるジュリーのライブを見たばかりで、その勢いで見に行きました。
本作は天草四郎の島原の乱をベースにしたファンタジー。時代劇とは言い難いし、人間ドラマにしては掘り下げが浅い。ただただ印象に残るのは沢田研二の妖艶さ。なんと恐ろしいことに、沢田研二は生首でも美しい! 妖気を纏う四郎。真田広之とキスまでします。(あれは闘魂注入か?)
舞台になった江戸時代、あれだけ横暴なお上のもとに暮らす庶民は苦しかったはずだし、押さえつけられた上に殺された天草四郎は悔しかったでしょう。小説ではありますが彼を生き返らせてやりたいと思う人は少なからずいたでしょうね。人望の厚い人だったら尚更です。(平将門にしても然り)
物語は転生した者たちが因縁の相手と対決したり、炎に包まれて亡くなるのですが、四郎だけは致命傷を負いません。首は切られてるけど死にません! センスいいですね!
柳生十兵衛の千葉真一は目が印象的でした。
宮本武蔵の緒形拳はもっと見せ場があってもよかったのでは? あの程度の使い方では勿体無い。
佳那晃子は将軍家綱を身体を使って虜にする細川ガラシャ役。この方は脱ぐことにこだわりがないのでしょう。『陽暉楼』で倍賞美津子と風呂場で喧嘩しますが、この時も裸を惜しみなく披露します。
千葉真一の父の若山富三郎もかっこよかったけど、刀鍛冶の丹波哲郎にびっくり。刀鍛冶ですが色気がありました。三船敏郎もそうだけど熟年で色気漂う男、モテただろうなぁと映画とは関係ないことを思ったり。
エンドロールを見て驚いたのが、衣装のアドバイザーとして辻村ジュサブローの名前があったこと。なるほど、沢田研二の妖艶さはその衣装も手伝っていたのですね。衣装にはそれほど注目してなかったのですが『ボルテスV』のハイネルみたいな変な服着てるなとは思いました。もっとじっくり見ればよかった。
マルサの女
税務署の検査官 板倉亮子(宮本信子)はその能力を買われ東京国税局に栄転する。ある日、権藤(山崎努)の愛人から脱税の密告を受ける。亮子は税務署時代から目をつけていた権藤の調査に参加する。
鑑賞日:2023年 6月 6日 |
映画館:TOHOシネマズ 日本橋 |
伊丹十三監督作品。主役は妻の宮本信子。印象的なサックスによる音楽は一度聴いたら忘れられません。
金と女を自由にできる男が最後に愛を求める、と言うとピュアな姿に思えますが、各所で駒になっていた人間からしたらたまったものではありません。1987年当時はバブルでもあったのでひょっとしたらこんな人が大勢いたのかもしれませんね。憶測ですけど。
出演する女性の多くが”色”を武器に生きている人。しかし宮本信子演じる亮子ちゃんは一味違い、女らしさ、可愛らしさを消すオーラがありました。これまで見たことがない不思議なオーラ。無表情というわけではなく、かと言って控えめでもない、不思議なオーラ。面白い。
ジャーナリストの顔も持つエッセイスト。当時私は伊丹十三さんをそう思っていました。とても強い男に見えたので、その自殺には信じられない想いでした。
現在NHK-BSで10年前の朝ドラ『あまちゃん』が再放送され、夏ばっぱの宮本信子さんを毎日見ています。現在の朝ドラ『まんてん』では和菓子職人の池内万作さんを見ています。伊丹家付いています。