薔薇いくたびか
芸大の受験会場で知り合った弓子(若尾文子)と光子(南田洋子)。意気投合するも、合格が決まるまで互いの名前を明かさないと決める。妹の送迎をしていた光子の兄、真一郎(根上淳)は弓子に一目惚れをしてしまう。弓子が不合格だったために名前も連絡先もわからずすれ違いが続くが、お互いの恋心は強いものだった。
鑑賞日:2015年 7月30日 |
映画館:角川シネマ新宿 |
親が決めた不本意な結婚よりも純粋な愛を貫く物語。若尾文子の可憐さと根上淳の一途さが話を引っ張ります。公開当時の女性の結婚がどれだけ自由だったのかわかりませんが、女性を勇気づけた映画だったのかもしれません。製作は1955年です。
とにもかくにも若尾文子がキュート! その他のキャストも驚くほどに豪華でした。勝新太郎の全く似合わない学生服姿や、やけに色っぽいピアノ教師の京マチ子が特に強烈でしたが、市川雷蔵、長谷川一夫、船越英二などなど、どのシーンにも昭和の大スターが顔を出しています。
角川シネマ新宿で行われた「若尾文子映画祭 青春」。60作品を一挙上映という企画もの映画祭でした。見たい作品は沢山あったのですが、1作品3日間の上映とタイトなスケジュールだったのでなかなか日程が合わず、この作品のみの鑑賞になりました。しかし、大変好評だったようで、冬にアンコール上映が決まったもよう。冬にも何本か見られるかな…!?
ヘッドフォン・ララバイ
レイ(本木雅弘)のアパートに同じクラスのボクトツ(布川敏和)が転がり込む。同居の条件として一ヶ月後の高校駅伝に出場する約束をさせる。そのアパートに豊(薬丸裕英)がかくまってほしいと理奈(可愛かずみ)を連れてくる。ある日、理奈がレイの詩集を見つけ、レイの想いを知る。レイと有沙(高部知子)は互いに惹かれ合うが、ボクトツが有沙に想いを寄せている事を知るレイは悩んでいた。レイは駅伝チームの和を崩したくなかったのだった。
鑑賞日:1983年 8月11日 |
映画館:後楽園シネマ |
シブガキ隊主演のアイドル映画。『ボーイズ&ガールズ』と2本立てで観ました。
【当時の鑑賞日記】
前回の『ボーイズ&ガールズ』よりはSTORYが複雑になってますね。
いろんな効果を出すためか、ちょっとかわった映画の撮り方をしているがちっとも効果なんてない。青春映画だからいいのかもしれないけど。 それから、あまりこの手の映画は見ないものだから出演者が幼く見えた。ボーイズ&ガールズ
大輔(本木雅弘)、公明(薬丸裕英)、正(布川敏和)の3人は全寮制男子校から抜け出し、海の見えるリゾート地へ。そこで3人の可愛い女の子と出会う。
鑑賞日:1983年 8月11日 |
映画館:後楽園シネマ |
シブガキ隊主演のアイドル映画。『ヘッドフォン・ララバイ』と2本立てで観ました。本作はシブがき隊主演のアイドル映画第1作目の映画です。
【当時の鑑賞日記】
これはすでにテレビで観ていたから、別に何とも思わなかった。
なんともあっさりとした当時の感想です。
当時のクラスメイトにシブガキ隊が好きな友人がいて、映画のサントラを繰り返し聴かされていました。彼女の影響だったのか、ぴあの招待券が当たったのか、今となってはよく覚えていません。
画像は後楽園シネマのシネマニュースです。後楽園シネマは名画座なので基本映画は2本立てですが、当初は『ヘッドフォン・ララバイ』とアニメの『パタリロ!』とのカップリングだったようです。手書きで『ボーイズ&ガールズ』と書かれているのがいいですね!
ボーイズ&ガールズ
鑑賞日:2024年 7月27日 |
映画館:新文芸坐 |
『ときめきに死す』の前に上映していたので懐かしさのあまり見てしまいました。今思うと森田芳光さんが監督(脚本も!)をしていたなんてびっくりです。
高校1年のひと夏の出来事。学校を抜け出した3人の恋や喧嘩などの見せ場を盛り込んだアイドル映画。
3人のメンバーカラーがあり、洋服やバッグなどの小物類に配色され、画面が非常に明るくポップでした。海や森の木々などの自然の中で3人が浮き出るように強調されていました。
デビュー作なので台詞は棒読み、演技もイマイチですが、もっくん・本木雅弘さんはすでに俳優の芽があったように感じました。
清水クーコさん、懐かしかった! 小学生の頃『出没!おもしろMAP』という番組が大好きで、クーコさんが大好きでした。
まだお若いかたせ梨乃さんが熟女オーラを放っていて、3人にとってちょっとしたスパイス的な存在でした。籐の椅子に座りエマニュエル夫人のパロディもなかなかの貫禄でした。
そして、テニスをするおばさん軍団に青木和代さんがいてニヤリ。青木和代さん、個性的で好きです。なんと言っても声がいい!
高校生の頃、シブがき隊の大ファンの友人がいて、映画同名のLPを聞かされていました。その中には沢田研二作曲の曲もあり、映画中に懐かしく聴きました。(あらためてやっくんの巻き舌に驚いたりして!)
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上映後に映画プロデューサー三沢和子さん(森田氏の奥様)と宇多丸さんのトークショーがありました。
本作は他で制作が頓挫して、森田氏に話がきたようです。当時森田氏は入ってきた仕事を全て受け、1ヶ月で3本の脚本を書いたそう。撮影は12日間。うち2日はシブがき隊の3人が多忙で東京に帰ってしまったとか。当時の森田氏の勢いの素晴らしさとジャニーズ事務所の強大さがわかるエピソードです。(ジャニーズ事務所としては当時ものすごい人気のたのきんトリオにシブがき隊も追いつけ追い越せで力を入れていたようです)
本作は同名のLPがリリースされる前に制作されたらしいです。LPの曲全てを映画内で使って欲しいとの要望には時間の関係で答えられなかったとか。本作で聞けなかった曲を久しぶりに聴きたくなりました。
当時森田監督は『の・ようなもの』で注目され、本作が初めてのメジャーデビューにあたる監督作だったそう。年配のスタッフの中にポンと入っていたらしく、出演者のシブがき隊の方が年が近かったはずだとおっしゃっていました。そのせいか本作がデビュー作でもあったシブがき隊の3人も思い入れが強かったようで、森田監督が亡くなった後、SNSで心のこもったメッセージを寄せてくれたと三沢さんがおっしゃっていました。
北斎漫画
下駄屋の2階に下宿する売れない絵師の鉄蔵(緒形拳)と娘のお栄(田中裕子)。下駄屋の主人佐七(西田敏行)は自作の読本を発表することに意欲を持っていた。佐七は蔦屋重三郎に鉄蔵を紹介する。鉄蔵の絵は売れ始める。鉄蔵は自由で奔放な生活をしながら絵を描き続けた。
鑑賞日:2025年 4月13日 |
映画館:神保町シアター |
葛飾北斎の生涯を追った話。公開当時は樋口可南子さんとタコの絡みばかりが取り沙汰されていて、子供は見てはいけない映画だと思っていました。おばさんになったので、見に行ってきました。
映画の随所に樋口可南子さんと田中裕子さんの裸が出てきます。田中裕子さんは自然な裸。樋口可奈子さんは綺麗でしたが色っぽいとは思えません。
本作で際立つのが緒形拳さんの演技。特に老年期の演技はすさまじく、声まで老人でした。(この演技、なかなかできる人はいないと思います)緒形拳からは絵と向き合う画家の姿が見られました。
映画『HOKUSAI』で柳楽優弥が見せたナイーブな姿とは違う姿ですが、どちらも絵に対する情熱が伝わってくる演技です。
曲亭馬琴(私は学校で滝沢馬琴と習った記憶があります)は自分の読本の挿絵を北斎に依頼します。非常に面倒見の良いパトロンのようです。西田敏行さんが好演しています。
樋口可奈子さん演じるお直は男を狂わせる女。フランキー堺さんを恋に狂わせ自殺に追い込みます。とても美しいのですが、あまりに簡単に肌を曝け出し、ちょっとわかりにくい人。『陽気浪』でサッと乳房を見せる浅野温子さんの性悪的な可愛らしさはありません。ま、創作意欲を掻き立てた人ということで良いのでしょうか。
田中裕子さんは子供、娘、老婆を演じます。とても器用な役者です。(ジュリーも惚れるわな)
それにしても蔦屋重三郎が活躍したこの時代、戦さもなく良い時代だったんですね。